1 今次会社法改正における主要項目

 会社法(平成17年法律第86号)の一部を改正する平成26年法律第90号(201551日からの施行が予定されています。)の法案に付された提出理由における主な改正項目4本柱のうち最後のものは,「株主による組織再編等の差止請求制度の拡充」でした(他の3本は,①監査等委員会設置会社制度の創設,②社外取締役の要件改正及び③株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設。2014115日の本ブログの記事「会社法改正の年に当たって(又は「こっそり」改正のはなし)」参照http://donttreadonme.blog.jp/archives/2471090.html)。

 今回は,4本目の「株主による組織再編等の差止請求制度の拡充」についてのお話です。

なお,監査等委員会設置会社制度の創設については,今年2015年1月15日の記事で御紹介しました(「改正会社法と監査等委員会設置会社制度の導入等」http://donttreadonme.blog.jp/archives/1017728671.html)。

社外取締役の要件改正については,「子会社等」及び「親会社等」概念との関係で触れるところがありました(2015年1月12日「改正会社法と子会社等及び親会社等(後編)」http://donttreadonme.blog.jp/archives/1017451320.html)。

株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設については,2015年2月4日の記事で御紹介しています(「平成9年の持株会社解禁の周辺から平成27年の多重代表訴訟制度等まで」http://donttreadonme.blog.jp/archives/2015-02-04.html)。

 

2 会社法における「組織再編」

 ところで,「組織再編」とは何かを最初に明らかにしておきましょう。「組織再編は,会社法上の概念ではない」ところです(稲葉威雄『会社法の解明』(中央経済社・2010年)654頁)。

 

(1)組織変更

 まず,「組織変更」とは違います。組織変更については,会社法2条26号に次のような定義があります。

 

 二十六 組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。

  イ 株式会社 合名会社,合資会社又は合同会社

  ロ 合名会社,合資会社又は合同会社 株式会社

 

持分会社(合名会社,合資会社又は合同会社(会社法5751項))相互間においては,組織変更とはいわず,「定款の変更による持分会社の種類の変更」(同法638条見出し)ということになるそうです。「内部規律は共通であるため,相互間の種類の変更は,・・・定款の変更による社員の責任の態様の変更とされている」わけです(江頭憲治郎『株式会社法』(有斐閣・2006年)856頁)。しかしながら,「会社法制定前は,株式会社・有限会社相互間という物的会社間の組織変更・・・,または,合名会社・合資会社という人的会社相互間の組織変更・・・を認め,他を認めていなかった」ところです(江頭856頁)。「社員の責任形態を無視した組織変更概念のおかしさは,どうしようもない。」,「会社の種類の変更を即ち組織変更とする従来の制度設計を変更すべき合理的な理由はない。」ともいわれています(稲葉119頁・656頁)。

 

(2)改正会社法784条の2,796条の2及び805条の2からの帰納

平成26年法律第90号の法案作成関係者による『一問一答 平成26年改正会社法』(坂本三郎編著・商事法務・2014年)によれば,「改正法では,株主が不利益を受けるような組織再編に対する事前の救済手段として,一般的な組織再編の差止請求に係る明文の規定を新設することとしています。具体的には,組織再編が法令または定款に違反し,当事会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,当該組織再編の差止めを請求することができることとしています(第784条の2,第796条の2,第805条の2)。」とされています(307頁。下線は筆者)。平成26年法律第90号による改正後の会社法(改正会社法)の第784条の2,第796条の2又は第805条の2に基づいて差止めがされ得るものが「組織再編」であるということになります。

そこで,改正会社法の当該条文を見てみるのですが,同法784条の2及び796条の2では「吸収合併等」をやめることを,同法805条の2では「新設合併等」をやめることを請求できる旨規定しています。「等」があるので,外延がはっきりしませんね。今度は,これらの概念における「等」とは何なのだということになります。なかなか会社法にはいらいらさせられます。「吸収合併等」とは,「吸収合併,吸収分割又は株式交換」のことであり(同法7821項),「新設合併等」とは,「新設合併,新設分割又は株式移転」のことです(同法8044項)。すなわち,「組織再編」とは,吸収合併,新設合併,吸収分割,新設分割,株式交換及び株式移転(会社法227号から32号まで)のことであって,そこには組織変更は含まれません。

ちなみに,会社計算規則(平成18年法務省令第13号)2条3項33号は,吸収合併,吸収分割及び株式交換を「吸収型再編」と定義し,同項41号は,新設合併,新設分割及び株式移転を「新設型再編」と定義しています。

なお,会社法の第5編(組織変更,合併,会社分割,株式交換及び株式移転)については,「実体規定と手続規定の分離(規定が分かれている),横断的な手続規定の構成をしながら個別規定が紛れ込み,他方で重複する規定が多い。・・・ともかく分かりにくい。会社法の問題点が集約されているような編である」(稲葉68頁)と酷評されています。

 

3 組織再編に対する差止請求

(1)必要性

組織再編に対する差止請求を認める理由は,「現行法上株主や債権者が組織再編の効力を争う手段としては,組織再編の無効の訴えがありますが(第828条〔17号から12号まで〕),事後的に組織再編の効力が否定されることは法律関係を複雑・不安定にするおそれもあります。そうであれば,株主が,当該組織再編の効力発生前に,その差止めを請求することができることとするのが相当と考えられます。」ということです(坂本307頁)。かねてから,「組織再編無効は,遡及効はないし,実際上は機能しない。株主総会決議に瑕疵がある蓋然性が高い場合には,その効力発生前に,手続を停止して(差止め),瑕疵の有無について決着をつけるべきもの・・・(それでないと救済の実効性はない)」と説かれていたところでありました(稲葉670頁)。

なお,組織変更については,差止め云々以前に,会社法以前はそもそもその無効の訴えに関する規定からして欠けており,設立無効に関する規定を類推適用ないしは準用していた状態だったので(江頭863864頁),なお当分無効の訴え(会社法828162)をもって満足せよということでしょうか。

 

(2)無効の訴えの制度に加わる差止請求制度

 

ア 合併についての制度整備の流れ

しかし,組織再編の元祖たる合併に係る無効の訴えに関する規定(商法旧415条)も,昭和13年法律第72号による商法改正によって初めて入ったところです。

昭和13年法律第72号による無効の訴えに係る制度の整備については,次のように説明されています。

 

 凡そ会社の設立,解散其他之に準ずべき重大事項(例へば株式会社の資本の増加又は減少)に付ては,其効力の有無は何人に対しても劃一的に決定せらるべきものである。会社なる一人格者の設立又は解散が甲に対しては無効であるが,乙に対しては有効であると謂ふが如きは,意味を為さざると同時に,法律関係を錯綜不可解ならしむるものである。然るに従来の立法例を観るに,此点に留意して周到なる規定を設けて居るものは殆ど存在して居らない。我が商法も亦独商法に倣つて僅に会社設立無効の訴に付て特別規定を設けて居るに止まつて居る(商法99条ノ2〔合名「会社カ事業ニ著手シタル後社員カ其設立ノ無効ナルコトヲ発見シタルトキハ訴ヲ以テノミ其無効ヲ主張スルコトヲ得」。これは明治44年法律第73号によって追加された。〕以下,232条〔株式会社の設立無効についての同様の規定〕,独商法309条,311条)。改正要綱は右に述べた点に付て,出来得る限り従来各国の立法の缺漏を補完せんことを期し,第47〔合名会社の合併の無効の訴え〕,第120〔株主総会決議の無効の訴え〕,第162〔資本増加の無効の訴え〕,第168〔資本減少の無効の訴え〕,第183〔株式会社の合併の無効の訴え〕等の各要綱を定めたものであつて此等の諸要綱は其内容の適否に付ては暫く措き,新規の考案たる点に至つては聊か誇るに足るべきものがあるかと考へる。(松本烝治「商法改正要綱解説」同『私法論文集 続編』(巌松堂書店・1938年)6364頁)

 

「新規の考案」ですから,無効の訴えに関する規定の整備は,当時のイノベーションであったわけです。

なお,昭和13年法律第72号による改正前の商法旧99条ノ2ないしは同232条の規定は,合併による新設会社の設立無効については適用されないものとされていました。

 

合併ニ因リテ設立シタル会社ニ対シ商法第99条ノ2又ハ第232条ノ規定ニ依ル設立無効ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ルヤ否ヤ

・・・此規定ハ通常ノ会社設立行為カ無効ナル場合ニ限リテ適用セラルヘキモノニシテ合併ニ依リテ設立シタル会社ニ適用セラルヘキモノニ非ス・・・

果シテ然ラハ新設合併ノ場合ニ於テ合併カ無効ナルモ仍ホ其無効ヲ主張スルニ途ナキカト謂フニ決シテ然ラス利害関係人ハ何人ト雖モ其攻撃又ハ防禦ノ方法トシテ会社合併ノ無効従テ新会社設立ノ無効ヲ援用スルコトヲ得ヘク又無効確認ノ訴ヲ提起スルコトヲモ得ヘシ只商法第99条ノ2又ハ第232条ノ特殊ノ訴訟ヲ許サスト謂フノミ(松本烝治「商法雑題」同『私法論文集』(巌松堂書店・1926年)11271128頁・1130頁)

 

 合併について見れば,昭和13年法律第72号によって無効の訴えの制度が整備され,平成26年法律第90号によって更に差止請求制度が導入されるわけです。立法の進化というべきでしょう。

 

イ 差止請求制度の導入(昭和25年改正)

 なお,差止請求制度の導入の経緯については,会社法360条1項の株主による取締役の行為の差止め(「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前から引き続き株式を有する株主は,取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし,又はこれらの行為をするおそれがある場合において,当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは,当該取締役に対し,当該行為をやめることを請求することができる。」)について,「取締役の違法行為の事前阻止は,本来,・・・会社の機関内部で行われることが期待されるが,それが行われない場合に備え,昭和25年改正の際に株主の代表訴訟と同じ発想の下に,株主の差止請求権が規定された〔商法旧272条〕。改正前は,取締役の職務執行停止以外に,個々の具体的行為を差し止める制度はなかった。現行法上「会社の目的の範囲外の行為」・・・がとくに例示されているのは,・・・アメリカ州会社法の伝統に基づく(デ州会1241〔号〕参照)。」と紹介されています(江頭451頁)。

また,会社法210条の「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」における募集株式の発行又は自己株式の処分をやめることの株主による請求(法令・定款違反の場合のほか,当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合に可能です。)については,「株主のこの差止請求権は,昭和25年改正により募集株式の発行が取締役会の権限とされ,株主がそれに関与しなくなった際に,株主に不利益が生ずることを防止するために設けられた。アメリカの各州法上「株主自身の権利に基づく個人的訴権」として認められた権利に由来し・・・,アメリカには,会社360条タイプ・・・の例が乏しいのに比し,このタイプの差止訴訟の数は多い。」とされています(江頭680頁)。

 改正会社法784条の2,796条の2又は805条の2は,いずれも「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」が要件になっていますから,会社法210条型の差止請求ということになるようです。

 

(3)「法令又は定款」違反要件について

なお,組織再編の差止請求における要件たる「法令又は定款」違反には,取締役の善良な管理者の注意義務や忠実義務の違反は含まれず,組織再編において当事会社の株主に交付される対価が不相当である場合も含まれないものと解されています(坂本309頁)。

 

4 組織再編等(組織再編を除く。)に対する差止請求

 

(1)三つの「等」

 ところで,「等」を気にする方々は,「株主による組織再編の差止請求制度の拡充」における「等」の差止請求制度の「等」とは何かが知りたくてうずうずされているでしょう。

 ここでもまた『一問一答 平成26年改正会社法』を参照することになるのですが,当該「等の差止請求」とは,

 

①全部取得条項付種類株式の取得の差止請求

改正会社法171条の3 第171条第1項の規定による全部取得条項付種類株式の取得が法令又は定款に違反する場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,当該全部取得条項付種類株式の取得をやめることを請求することができる。

 

②株式の併合の差止請求

改正会社法182条の3 株式の併合が法令又は定款に違反する場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,当該株式の併合をやめることを請求することができる。

 

③新設の株式等売渡請求制度における売渡株式等の全部の取得の差止請求

改正会社法179条の7第1項 次に掲げる場合において,売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは,売渡株主は,特別支配株主に対し,株式等売渡請求に係る売渡株式等〔売渡株式及び売渡新株予約権〕の全部の取得をやめることを請求することができる。

 一 株式売渡請求が法令に違反する場合

 二 対象会社が第179条の4第1項第1号(売渡株主に対する通知に係る部分に限る。)又は第179条の5〔事前開示手続〕の規定に違反した場合

 三 第179条の2第1項第2号又は第3号に掲げる事項〔対価関係事項〕が対象会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当である場合

 

の三つということになるそうです(307308頁)。

 

(2)全部取得条項付種類株式制度について

全部取得条項付種類株式制度については,かねてから批判がありました。

 

 ・・・株主が、その意思によることなく,資本多数決によって,株主たる地位を奪われること(会社の出資者たる地位が奪われ,会社事業から切り離されること)は,最も重大な平等原則の侵害ということができる。

 これが,株主の締出し(スクウィーズ・アウト)の問題である。会社法では,これを安易に特別決議によってする余地を認めており,その立法としての妥当性には大きな疑問がある・・・

〔会社法における〕新しい制度としては,全部取得条項付種類株式(108①七)という制度が認められている。これは,会社がある種類の株式全部を取得することができる制度である。もともとは,債務超過の会社において,会社更生等の手続による裁判所の関与なく,100%減資を認め,新しい株主構成にするための制度として考案された,といわれる。

 しかし,そのような実体要件がなくても〔立法過程で債務超過の要件は不要とされた(江頭151頁)。〕,手続(種類株式にする定款変更の上,1112項〔既発行の株式を全部取得条項付種類株式にする定款変更〕と1711項〔当該全部取得条項付種類株式の会社による取得〕の株主総会・種類株主総会の特別決議を経ることになるが,まとめて同一機会にすることができる。反対株主の相当価格での株式買取請求権および取得価格決定申立権は認められる)だけで,株主の地位の剥奪を認める制度として,汎用化されている(種類株式にするのは,現実に他の種類の株式を発行する必要はなく,定款にその定めさえすればよい)。特別の決議要件は,定められていない。

 つまりは,少数株主は,裁判所への株式の価格決定申立権(172)といった対抗手段(これが,少数株主の保護手段として,不備なものであることは,後記のとおりである)があるだけで,株主の地位から放逐される。(稲葉318319頁)

 

 スクィーズ・アウトの実務としては,「税制上の理由等」により,全部取得条項付種類株式の取得の形(株式を対価とする全部取得条項付種類株式の取得により,少数株主の有する株式の全部をいったん端数株式とした後,端数の処理(第234条)により,当該端数株式の売却代金を少数株主に交付する。)をとることが「通例」であるとされています(坂本229頁)。

 

(3)株式の併合について

 株式の併合についても,「株式併合がスクウィーズ・アウトに利用される場合(支配株主以外〔ママ〕の持株以外の株式をすべて1株未満の端数とするような株式併合)については,適正な補償についての手当てが欠けている(〔株式の併合によって生ずる1株未満の端数について,端数の合計数に相当する数の株式の売却等によって得られた代金を端数に応じて株主に交付する〕235条では,意味がない)」とされていました(稲葉320頁)。

「株式の併合は,その結果端数が生ずる株主に対して不利に働くという理由から,平成13年改正(法79号)前は,法律がとくに必要性を認めた場合にしか行うことができないものとされていた」のですが,「平成13年改正〔議員立法〕は,出資単位に関する会社の自治の尊重という観点・・・から,株式の併合が許容される事由に関する規制を撤廃し,一定の手続を踏めば事由のいかんを問わず株式の併合をできるものとし」ています(江頭260頁。下線は筆者)。

 

(4)株式等売渡請求制度について

 株式等売渡請求制度(改正会社法179条以下)とは,「株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する株主〔特別支配株主〕が,他の株主の全員に対し,その有する当該株式会社の株式の全部を売り渡すことを請求することができることとする制度」であって,「特別支配株主が株式売渡請求をすることを認めるほか,これに併せて,新株予約権や新株予約権付社債についても売渡請求をすることを認める」こととされていることから,「株式等売渡請求」制度と呼ばれているものです(坂本227頁)。「特別支配株主が,対象会社の株主総会の決議を要することなく,キャッシュ・アウト(支配株主が,少数株主の有する株式の全部を,少数株主の個別の承諾を得ることなく,金銭を対価として取得すること)を行うことを可能とするもの」であって,「これにより,特別支配株主は,機動的にキャッシュ・アウトを行い,そのメリットを実現することができる」ようになるとされています(坂本227頁)。

 スクウィーズ・アウトのための全部取得条項付種類株式の利用に対する批判において,「この場合,少数株主を締め出すことに利益があるのは,会社というより,多数株主であることを看過してはならない。全部取得条項付株式のように会社が取得するという道筋はおかしく,状況に応じ,直截に多数株主ないし支配株主が取得する仕組みを採用すべきである。」との議論があったところから(稲葉319頁),それではということで「直截に多数株主ないし支配株主が取得する仕組み」を作ったということでしょうか。

 株式等売渡請求制度によって実現されるキャッシュ・アウトの「メリット」として,次のものが例示されています(坂本228頁)。

 

 ①長期的視野に立った柔軟な経営の実現(積極的な事業の改革等を行うことにより会社の短期的な収益が悪化する場合には,少数株主から代表訴訟等による経営責任の追及を受けるリスクをおそれて,取締役がこのような改革等を躊躇する可能性があるが,ある株主が株式会社の全ての株式を有するという支配関係を形成することにより,このようなリスクを払拭し,柔軟かつ積極的な経営を行うことができるようになる。)

  ②株主総会に関する手続の省略による意思決定の迅速化(株主が1人であれば,実際に株主総会を開催するのではなく,書面による株主総会決議の制度(第319条)を利用することが容易になる。)

  ③株主管理コストの削減

 

 株主は少なければ少ないほどよいということでしょうか。株主総会はない方がよいということでしょうか。

 そうだとすると,「民間出資が認められるものであっても,「株式会社に於ける株主総会に該当するものがない」ものであって,その「企業の経営はその資本的所有と切り離され国家の直接の管理に属して居」たところ(山崎32参照)」の営団制度(コンメンタールNTT法(三省堂・2011年)244頁参照)など,今日再評価されるべきでしょうか。我が国政府が,「長期的視野に立った柔軟な」姿勢で,かつ,短期的収益悪化についても鷹揚に,各営団経営陣をそれぞれの改革に向けて鼓舞してくれることを期待することはできないものでしょうか。

 「経営責任の追及」はやはり悪でしょうか。確かに,聖徳太子は,その憲法の第一条において「以和為貴」と説いておられます。しかし,その第十一条においては,「明察功過賞罰必当」と言っておられて,信賞必罰の必要性も指摘しておられます。

 いずれにせよ,少数者をsqueeze outすることによって,会社が,おしゃれで気持ちのよい快適な場所になるのならば,結構なことです。

弁護士 齊藤雅俊

大志わかば法律事務所

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